INTERVIEW 事例紹介

私心なく誠実に。企業の事業成長を促す戦略的人事ビジネスパートナーの期待と役割

某外資系飲料メーカー
人事ビジネスパートナー
益子憲明 様

飲料メーカー

人事ビジネスパートナーとして、人と組織の面から、企業の事業成長をどう促すのか?経営戦略を実現し、経営幹部や事業のパートナーとして、どう人事戦略を構築するのか?そして、その際に最も大切にしていることは何か?

現在、外資系飲料メーカーの人事ビジネスパートナーとしてご活躍されていらっしゃる益子憲明様は、日系・外資系企業の両方で、長年人事業務に携わっていらっしゃいます。経営戦略の推進力としての戦略人事はどうあるべきか?益子様の人事にかける思いを、当社専務の福田聡子がお伺いしました。


 

福田:益子さんとは本当に長くお付き合いをいただいて、ありがとうございます。

益子:そうですね、前職の時に大卒の新入社員全員に対して、全員を海外に送り込むプロジェクトが最初のプロジェクトでしたよね。今考えても、なかなか先進的な取り組みでした。

実際に研修が終わってみたら、海外で仕事をするのは普通じゃん」っていう感覚を参加者が持てたのはすごく大きな収穫でしたね。特に技術系の人だと、英語を話すことに抵抗があったり、外国人を見ただけで委縮しちゃう人もいましたからね。それが、海外研修を含むグローバル教育でマインドセットを作っていって、ビジネスパーソンの基礎が出来たと思います。本当にやって良かったなあと思いましたね。

 

 

人事は私心なく誠実に

福田:益子さんと様々なプロジェクトをご一緒させていただいて、教育に関して、益子さんは一貫したお考えをいつも感じるのですが、何か大事にされていらっしゃることはありますか?

益子:ちょっと乾いた言い方でいうと、経営をしていく中で経営資源をいかに有効に使うかということだと思うんです。人、金、モノ、情報という経営資源があって、人が経営資源として一番レバレッジが効く。レバレッジが効くんですけれども、うまく回さないと、0.5になったり0.1になってしまったりします。そのレバレッジをかけるための強力な推進力として教育がある学ぶ機会やきっかけを提供することで個人個人が気づきを作り、「自分はもっとこうなりたい、ああなりたい」と言って、だんだん自ら能動的に動くようになる。そのための経営としての投資が教育だと思っています。

 

もちろん、OJTで学ぶこともありますが、Off-JTの教育では、高い次元での課題設定が特に重要だと思っています。ロジカルに自分の構想や計画を考え、試行錯誤しながら実行する。OJTの延長線上だけで学ぶのではなく、日々触れない分野の知識や、講師のインパクト、普段触れないメンバーとのディスカッションを通じて、人間としても大きく成長しますよね。

私は、人事を30年やらせていただいているのですが、重要なのは、教育担当者がいかに私心を持たずに誠実に携わり続けることかなと思いますね。やっぱり人を扱うので、誠実さというのは一番大切にしています。私心を入れるとか、政治的なこととか、そういうのをやった途端に、経営者や事業を推進するビジネスリーダーたちとの関係が崩れてしまいますから。

 

 

経営課題をどう組織・人材の面から解決するか?

益子:人事のビジネスパートナーに求められるのは、ビジネスリーダーたちが思い描く課題や目標に対して、人に関する課題を専門的にサポートすることです。例えば今、労働人口が縮小する中でどうやって人を確保して成長してもらうのか。適材適所の配置や、将来に向けたリーダーシップサクセッションプラン(後継者育成計画)を作っていって、確実に組織力を上げていく。まさに経営課題です。

企業の次世代を担うリーダーをしっかり特定して、冷静に、彼・彼女らの強み弱みの分析をした上で、弱みをどう克服するのか、強みをどう花開かせるか、それを経営のトップとしっかり話し込んで課題設定していくことが重要です。それが経営陣と我々人事のパートナーが一緒になって取り組んでいく大事なことだと思いますね。そのための機会作りや課題設定として、グローバル・エデュケーションさんにご提供いただいているようなエグゼクティブコーチングオーダーメイドされたプログラムっていうのはものすごく有効だなと思いますね。

 

プログラム成功の秘訣は?

福田:エグゼクティブコーチングでは、重要な方々をお任せいただいているんですけれども、前後で変化は感じますか?

益子:おかげ様で相当変わりました。大きく成長したリーダーを見ることが出来て私もとても嬉しいです。グローバル・エデュケーションさんの強みである日本人のグローバルリーダー化というのは、今回もすごくうまく機能したなと思いますね。

受講したビジネスリーダーたちも、最初は半信半疑だったと思いますが、そこからの気持ちの変わりようは、目を見張るものがありましたね。オーストラリア人上司との1対1のミーティングで話す内容のアドバイスやエレベータートークの練習、グローバルな場面でのプレゼンも指導していただいて、それがしっかり出来るようになって、その自信の付き方は素晴らしいものがありましたね。

もう一つ良かったのは、教育プログラムを考える時に、我々の持っている課題、それを解決するために、受講するビジネスリーダーたちにどうなってほしいのか、どういう役割で成果を達成してほしいのか、そことのギャップは何か、ということをじっくりグローバル・エデュケーションさんとも話し合えたことですね。

 

受講するビジネスリーダーと、彼らを派遣した経営、ビジネスパートナーである私、そして、グローバル・エデュケーションさんの四者でプログラムをしっかり作った実感があります。彼らに合ったコーチも非常に慎重に選んでいただいて、事前準備のところからしっかりオーダーメイドで入っていただいたので、それもうまくいったポイントだなと思います。正直今まで過去には何度かトライしたことがあったのですが、なかなかうまくいかなくて、結果に結びつかなかったということがあったのですが、今回は確実な成果が出ていると思います。

福田:今後の事業戦略実現において、それぞれのリーダーに何が求められるのか、益子さんのビジョンがはっきりされていらっしゃいました。このようなエグゼクティブコーチングにおいては、このような連携がすごく大事だと改めて思います。私どもも、外からお手伝いしているというよりも、半分くらい組織の中に入っているようなイメージで、皆さんが成長することによって組織にどんなインパクトがあるかというのを教えていただきました。そこをイメージしながら進めることが出来た素晴らしい機会をいただいていると思っています。

益子:コーチ選定の時も、人格者で本当の悩みを話しながら引き出してくれる方を選んでいただき、受講した本人も非常に感謝していました。最近、本人の部下たちからのフィードバックをもらいましたが、評価がものすごく高いんです。彼がもともと持っていた、強い責任感とぐいぐい引っ張っていくリーダーシップが、エグゼクティブコーチングを受けたことによって、周囲の人たちから尊敬されてチームを一緒に作っていく、良い循環に入ったと思いますね。

 

これからの人事ビジネスパートナーに求められる役割とは?

これからの人事のビジネスパートナーは、一人ひとりのビジネスリーダーをオーダーメイドで育成していくことや、彼・彼女らが伸びる機会を個別に提供することが、戦略的な役割としてより重要になっていくと思っています。しっかりと私心なくやっているなっていうのがビジネスリーダーたちに伝われば、彼らも絶対に応えてくれると思うんですね。リーダーとして組織を預かるような役割の人間には、絶え間ないフィードバック成長機会を提供すること、そしてそれが経営戦略と結びついていることが重要です。

 

ドメスティックな人がグローバルに変わる瞬間

益子:福田さんは、今回に限らず、ドメスティックな方がグローバルに変わっていくプロセスをたくさん見てきたと思いますが、変わっていくきっかけというのは、どういうものがあるんでしょうか?

福田:人によってタイミングは異なりますが、自分が何を求められているかというのがはっきりした時が多いと思いますね。コーチとの面談を通してそれがはっきりしていく方も多いです。例えば、技術者の方だと、技術に対する溢れる思いがありますよね。世界中が日本の技術・経験を求めている、それを日本のリーダーからも発信したいし、しないといけないという強い気持ちがあります。その思いを引き出した上で、実現するために何が足りないのか?と考えていくことが、筋が取ったモチベーションの源になると思いますね。

 

益子:確かに、モチベーションの源が出来て、じゃあ、実現するために何をやるかって言う時に、目の前にトレーニングがしっかり用意されているのは重要ですね。大変かもしれないけれど、強い意志の中でストレッチして自分の領域を広げていく、うまいサイクルが出来ましたよね。

 

違う者同士のリスペクトあるフラットな協働を目指したい

福田:次はどんな課題に取り組んでいきたいと思っていらっしゃいますか?

益子:次の課題は組織として、どうやって横同士の連携を強めて組織力を高めるかだと思っています。表面上ではなく、一歩踏み込んで相手を理解すること、違うタイプの人間とどうコミュニケーションを取って、一緒に結果を出していくか。違う者同士のリスペクトあるフラットな協働を目指したいです。上司がハブになって部下が横の連携を強めるのではなく、上司を介さずに横同士で、真の協業が出来るような横の連携を強めていきたいですね。そうすると、新しいアイディアも生まれ、組織もより活発になる。そして、それを日本人だけではなく、グローバルなレベルで展開できるようにしたいと思っています。

福田:素晴らしいお考えですね。私心なく誠実に物事を見ていらっしゃるからこそ、そのような課題意識が出てくるのだと思います。

益子:課題意識がないとプロアクティブに経営リーダーに提言できないですからね。

でも、これは派手さはない地味な世界ですね(笑)。いろいろ観察して、いろいろ考えて、戦略的に仕掛けてみて、ちょっとしたダイナミズムの変化を自分で喜ぶっていうマニアックな世界ですよね。ビジネスに役立つのももちろん嬉しいけれど、成長した姿を見るのが好きです。やはり、人が好きですし、人を成長させるのが好きですね。

 


お話をお伺いしたのは

益子 憲明 様

外資系飲料メーカーの人事ビジネスパートナー。
日系・外資系企業での人事業務を歴任し、現職。
総合電機、製薬、自動車部品、金融業界の大手日系企業並びに外資系グローバル企業で30年に亘り、人事部門でマネジメントを務め、人材開発、組織開発、組織編制と人員配置、人事制度構築・運用、労務管理、採用、研修制度開発・運営、企業分社・統合やリスク管理業務など人事全般に携わる。現職では、飲料メーカーのサプライチェーン部門の戦略的な人事ビジネスパートナーとして活躍中。