INTERVIEW 事例紹介
長瀬産業株式会社
人事総務本部
人事総務部
グローバルタレントマネジメント課
課統括
金澤啓彦 様
目次
2023年10月04日(水)第338回グローバル人材育成研究会は、
長瀬産業株式会社様より金澤啓彦様、
ハーバード・ビジネス・スクール(以下、HBS)より佐藤信雄様・宗像佐尭様を
ゲストにお招きし、「グローバル上級管理職育成」をテーマに開催。
グローバル化や人的資本経営が加速化・浸透する一方で、多くの企業が頭を抱えているのが、
国際経験豊富な経営人材の不足にどう対応するか?です。
サクセッションプランニング(後継者育成)には、経営戦略と連動した
長期的な人材戦略にもとづいて育成していく視点が必要不可欠です。
そこで、幹部育成のグローバルでの「最高峰の学びの場」と言われる、エグゼクティブエデュケーションに注目が集まる中、
次世代の経営を担う真のリーダー育成を、長期的かつ戦略的にパイプライン化されている長瀬産業様のような企業の事例には、
多くの反響が寄せられました。
金澤様より、長瀬産業様において、グローバルに戦える経営者がなぜ求められているのか、
そしてどのように育成を行っているのか?について、たっぷりとお話しいただきました。
1832年創業の長瀬産業株式会社様。NAGASEグループは世界各国に広がり、
グローバルでの連結従業員数は7,220名を誇ります。素材マテリアルという業種だからこそ、
お客様内における多岐にわたる事業領域を担当。
パートナーと共にお客様の新しい事業を見つけて育み広げていく、ビジネスデザイナーとして価値提供をされています。
求める人材像は「変革をリードし、イノベーティブでグローバルな人材」。
日本発だけにとどまらない、世界各エリア主体での事業を生み出すための海外人材の育成や体制強化を見据え、
中期経営計画でも「多様な人財をマネージしていく」ことが命題として掲げられています。
グループ内での国や分野の多様性を活かし、その垣根を超えて多能な機能をかけ合わさって、
これまでにない新しいものを創出し価値提供していく。
これからの時代に経営をリードする人材には、その広い視野と高い視座、グローバルな視点を持った
イノベーティブなマインドが求められています。
そのために、各階層に応じた育成プログラムをきめ細やかに展開されている長瀬産業様。
社内最高峰のプログラムとして、経営幹部候補をHBS AMP(Advanced Management Program)に派遣されています。
参加された方からは、教授の巧妙なファシリテーションや洗練された議論の手法をはじめ、
著名な企業の最新のケースを手に取って経営の立場で議論できる機会への驚きといった、感嘆の声があがります。
中でも、多国籍なエグゼクティブクラスの参加者からの学びへの反響は大きいそうです。
社内だけで議論するとも、日本人経営者だけで議論するとも違う、
グローバルな多様な経験を持った人たちの視点は、時に自分自身の常識を大きく覆すことも。
例えば、ある参加者は、リビンググループにアフリカの外交官がおり
「彼と話をしていると、全く考え方の筋道が違う。自分が見えていなかった視点に気づかされた。」
と話されていたそう。
こうした世界中のあらゆる仲間と繋がる人脈はプログラム参加の財産とも言っても過言ではありません。
トップ自らも「育つよろこびと育てるよろこびの実現」を掲げ、HBSでの経験から触発され、
ワインとチーズを片手に部門を超えて課題を語り合う場を作るなど、
ラーニングカルチャー醸成を率先して行われているそうです。
これからは、更に組織全体の経営理念能力向上や海外人財との公平な競争と成長支援、
外部視点の強化を行い、HBS等での学びを生かし「育つよろこびと育てるよろこびの実現」を
組織文化として作っていきたい、とお話しいただきました。
HBSのプログラムの全貌については、HBSより、佐藤氏と宗像氏よりお話しいただきました。
「HBSはビジネススクールでもあるが、リーダーシップスクールだ」と語る佐藤氏。
プログラムもビジネススキルの習得に留まらず、参加者同士の経験や知見を分かち合い、
自分はリーダーとしてどうレベルアップしていくのか?を考える場となるようデザインされています。
例えば、HBSの学びの特徴の一つであるケースメソッド。世界の企業における最新の動きや
ベストプラクティスを反映させ、年間約300本に及びケースを開発しています。
それらを題材として意思決定のプロセスを追体験しながら学びます。
ケースメソッドというと、まず理論を学び、その応用としてケースを活用する、と理解されがちですが、
教授の座学は行われず、ケースにも正解は存在しません。
教授のファシリテーションのもとディスカッションを行い、
参加者同士の知識や経験を分かち合い、自分が経営者として当事者ならどうするのか?意見をぶつけ合います。
そうした議論に照らし合わせて、自分の強み弱み、自分の事業にどう活かすかといった”気づき”を通して学びます。
“WHAT TO DO”(何をするか)を教わるのではなく、
”HOW TO THINK”(あなたならどう考えるか)が常に問われる場なのです。
これは、HBSで有名な「リビンググループ」という独自の制度にも表れています。
HBSは全寮制のプログラムであるため、参加者は8人1組のダイバーシティ溢れるチームに割り当てられます。
寝食を共にしながら、チームでも日々各ケースの事前討議を行います。
少人数のグループでのディスカッションを通じて
お互いの意見や価値観をぶつけ合って学び合い、密なネットワークを築くもの。
会社の肩書きではなく、1人の経営者として、自分はどんな判断基準を持つのか?
あなたはどんな人間なのか?が問われる毎日なのです。
このように、エグゼクティブ・エデュケーションは、各国の様々な企業や産業から選ばれた
リーダーがリーダーシップ力を短期間で鍛えることのできる限りなく高密度で、高濃度の学びの場です。
当社は数多くの企業様で、派遣の事前準備〜渡航後までの派遣サポート、
及び人材育成体系のデザインや、育成計画に則ったプログラムの活用方法のコンサルティングまで
お手伝いをさせていただいております。「とりあえず行く」だけで終わらせない、
人材戦略に基づいた俯瞰的視点で体系的にプランを練っていくことで、劇的に効果が高まります。
質疑応答も多くの質問が寄せられ、名残惜しいうちに終了。あっという間の濃密な2時間でした。
お忙しい中ご登壇いただきました、佐藤氏、宗像氏、そして金澤様、
またご参加いただきました皆様、ありがとうございました!