布留川 勝の人材育成の現場日記

昭和~Good Old Days

2007/12/12

エッセイ

95e6f603.jpg先々週「不思議な気持ち」になる瞬間があった。

弊社クライアントのT社(製造業)で1年間のグローバル人材育成研修が終了し、参加者全員が社長、役員と上司、そして次期参加者の前で成果を発表する機会があった。目を見張るような成果が出て、一緒にこのプロジェクトを陰で支えて頂いた人事のご担当者に感謝しつつ、懇親会の場に移った。
参加者全員の成果を定量化するアセスメントの結果がその場で発表され、この一年の苦労や楽しかったことのコメントが述べられた。達成感があふれる中、ユーモアたっぷりのスピーチで大きく盛り上がった。私もすっかりビールとワインに酔ってしまい、その雰囲気の中にとけこんでいた。私より一回り以上若い30代の幹部候補人材が、会社や仕事への思いを語り、後輩に意見し、自由に語り合っている。さすが業界トップ企業だけあり、優秀な社員が多く、中には将来はこの企業を背負っていく姿が容易にイメージできる野心家のリーダー人材も多々見られた。経営陣から見れば頼もしい存在に映ったであろう。
そうこうしているうちに会も終わりに近づいたところで、私にスピーチの順番が回ってきた。そして、総勢40名以上の前に立ち、シーンとしたところで、目の前にいらっしゃる社長や幹部の方々、そして30代の研修参加者と一瞬視線が合った。その時、自分が昭和に数秒間タイムスリップしてしまった。自分が人材育成の世界に入った頃のことから、グローバル人材育成を自分のライフワークにしようと起業に至るまでのことが走馬灯のように駆け巡り、様々な思いが込み上げてきて不覚にも声が出ない。突然のことで、自分でも驚いた。恐らく、この会社のDNAにポジティブな意味での『昭和的』な文化が継承されていて、そのことに私の遠い記憶や思いが反応してしまったのだろう。『日本企業の昭和的な人間関係、仕事の進め方、会社へのロイヤリティ』と『今日的な成果主義、グローバル経営・マインド・スキル』をいかに融和させていくかを、組織と人材の両面から取り組んでいる毎日であるが、今回はその現場にリアルに触れられる機会だった。

コア人材の多くが30代後半から40代になって突然、『自らのグローバル化』を求められる現場に私はいる。所謂『丸ドメ派(国内要員)』のコア人材の将来のキャリアに何らかのリスク要因として存在する『グローバルという障壁』は、『英語力アップ』だけでは突破できない。
1年半前にその私のその考え方を受け入れていただいた人事部の方々には、この機会をいただけたことを心から感謝したい。

今回の研修はスタート直後から人事部・参加者・講師陣・当社スタッフの思いが一丸となって独特な雰囲気を醸し出していた。私自身は毎回現場にいた訳ではないが、講師や担当スタッフからの仄聞で、大きな成果がでそうな予感はしていた。

『グローバル人材の第一ステップに参加者全員が踏み込んだ。ますますの精進あるのみ!』とグローバル展開でさんざん闘ってこられたM社長の気合の入った本気のお言葉は、私の心にずしんと響いた。

写真は成果発表会での記念写真

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