布留川 勝の人材育成の現場日記

外資系企業の危惧すること、とは?

2010/09/24

エッセイ

グローバル企業

先週グローバル企業の日本法人にて「Global Leadership Development Program」がスタートし、キックオフの講師を担当させていただいた。選抜された19名は、初見で仕事に本気で取り組んできたことがわかる魅力的な人材ばかりで、私も講師としてやりがいのある1日であった。

外資系企業の日本法人において、最近危惧され始めたこと

それは、欧米の本社の役員ポジションに日本人幹部がなかなか登用されないことである。これは、本社での日本現地法人の発言権の低下につながりかねない。

アジア全体で言えば、シンガポールや香港、インド、中国、韓国、台湾、タイ、マレーシアなどからは、続々とハイパフォーマーが輩出され、本社の中枢に入り込んでいる。
なぜ、アジアNO1の売上を誇る日本はそれができないのか?

マインドセットの視点で考えてみた。

1 現場の仕事で目一杯で目指す余裕がない
2 目指していたが外国人幹部の優秀さに圧倒され諦めた
3 英語力が低いので尻込みしている
4 すでに年収も高く安定しているので更なる挑戦という気持ちにならない

ヒアリングが十分ではないので異論もあるかと思うが、これが私の現場感である。

私には、経験上日本人ハイパフォーマーの多くはグローバルで活躍できるという確信がある。
ただ、日本社会で主に日本人としか仕事をしないのであれば、その才能は宝の持ち腐れになると考える。現場で学ぶことももちろん大事であるが、多様性の低い社会でのOJTだけではグローバルスキルの開発には限界があるからだ。

グローバル企業の外国人エグゼクティブは、自ら求め最高のトレーニングを毎年欠かさず受講し、トップクラスのコーチを通して自分の強みをさらに強化する。会社もそれを支援し、本人も毎年成長し続けることにコミットしている。
日本人エグゼクティブに同じようなマインドセットがないわけではないが、やはりコミットメントは低いというのが一般的な見方である。転職の機会が少ないというのもひとつの要因であるかもしれない。

そもそも欧米にはグローバル人材というニュアンスの言葉もない。敢えて言えば「プロフェッショナル」であり、当然自分の国で自分と同じ国籍の人との仕事しかしないという人材はその範疇には入らない。

この本人のマインドと会社側の支援の差が、日本人が海外グローバル企業の本社役員-幹部に登用されにくいことに影響している可能性は高い。
この違いが5-10年で、ポテンシャルのある人材の成長にブレーキをかけてしまう。

全く「残念な話」である。

翻って、今回のワークショップ参加者の意識は高い。必ず本社の中枢で活躍する人材が輩出されるだろう。今から楽しみである。

(写真は当日の様子)

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