布留川 勝の人材育成の現場日記

G研報告(171) 外国人はなぜ辞めてしまうのか?

2018/10/06

グローバル人材育成研究会(G研)

コミュニケーション

ダイバーシティ

管理職研修

2018年9月26日(火)に行われた第171回G研「採用した外国人スタッフが辞めてしまう…共に生き生きと働くために、日本人が知っておくべきコミュニケーション術」の様子をご紹介する。

第1部:有能な外国人や若手が辞める理由とグローバル人材育成の相関関係

昨今、外国人と日本人若手の価値観が似てきているのではと感じることがある。この両者からは、日本企業や働くことに対して次のような不満を持っているという言葉も聞こえてくる。「年金も退職金も当てにできない、能力相応の給与が貰えない、本気になれる仕事をやりたいのに・・・。」終身雇用で安定した仕事につきたい、という考えは色濃く残っているが、だんだん非現実的に見えてきたのだ。

私は、世界中の優秀な人々が働きたいと望むグローバル企業とは以下のような要素が必要だと考えている。

世界中のトップタレントが入りたい採用・評価・育成・配置システムを備え、入社してからも切磋琢磨し、自らも成長しその仕事を通して社会貢献をする。十分な収入も得られて、仕事とプライベートが循環し「真の幸せ」を得られる企業」

ただ、その理想に向けては多くの越えるべき障壁がある。その最たるものとして、グローバルなマインドセットを持った人材の育成とプールがあげられる。カギはやはり人材育成なのだが、若手社員からは、なぜ上司たちもグローバル研修を受講しないのか、なぜ課長の昇格要件がTOEIC600点なのか、といった声も聞かれる。アジアのグローバル企業の社員は、英語でマネジメントができ、ファシリテーションもできるのが当たり前である。TOEIC 600点を取得して、一安心している管理職を見て将来が不安になるのは当然だ。急速な少子高齢化が進む日本において、そんな余裕は無い。日本以外のマーケットをどれくらい短期間で抑えていけるかが、これから10-20年の方向性を決めてしまう。もう時間がないのだ。

以前より、こちらのブログでも紹介をしているL型人材(Local型、国内無敵)のトップ層をGL型(Global-Local型、どちらも無敵)に転換するための本気のトレーニングが急務である。 11/21(水)のG研では、課長層に対するグローバル人材育成研修を実施する企業のご担当者に登壇いただき、そのねらいや効果についてお話いただく予定だ。詳細はこちら

第2部:外国人と共に生き生きと働くために、日本人が知っておくべきコミュニケーション術

第二部では、ウズベキスタン出身、ウズベク語、ロシア語、英語、日本語をはじめ7か国語を操る、異文化理解のプロフェッショナルであるファリザ講師をお迎えし、多様な価値観を取り込んで自社の強みに繋げていくために知っておくべき、外国人スタッフとのコミュニケーションのコツをご紹介いただいた。このワークショップだが、海外赴任経験のある日本人200人、日本で働いたことのある外国人500人に綿密なインタビューを行った、実にリアリティあるものなのだ。 外国籍社員の採用も増えてきている昨今、以下のような悩みを耳にすることもしばしばだ。

・採用した外国人スタッフがすぐに辞めてしまう

・日本語が話せるのでうまくいくと思ったがトラブルが起きてしまった

・外国人社員に自社のビジネススタイルをなかなか理解してもらえない…

今回のG研では、実際のセミナーで行うロールプレーを参加者の皆様にもご体験いただいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例えば、皆様はこんなケースにどのように応じるだろうか。

優秀だが、勤務時間中の離席が多く、カフェに一人でいることが多いアメリカ出身の部下に対し、病気で休養が決まった同じチームのメンバーの仕事を依頼することになった。あなたは、マネージャーとして「同じチームなんだから、助け合いましょう。」をベースに話をしてしまわないだろうか?外国人メンバーの場合、他人の仕事のサポートは、その人から仕事を奪うことになり、ネガティブなこととして捉えられることがある。また、雇用契約内容と違っている、ということもあるかもしれない。 この場合に、「チームが困っているんだから」と説得をすることはロジカルではなく、外国人社員からすれば、「それは上司であるあなたのマネジメントの課題であり、私には関係のないこと」で、マネージャーとしての信頼を損なうことになりかねない。グローバル企業において、マネージャーの仕事は一緒に考えることではない。社員の状況に共感を示しながらも、自分が下した意思決定をロジカルに伝えた上で、部下が行動にうつせるようにサポートすることが求められているのだ。

採用した外国人社員がやめてしまうという課題。それに対するファリザ講師のソリューションを聞きながら、これは日本の若手社員に対しても実に有用なスキルおよび考え方であると感じた。昨今、日本人若手と外国人社員の価値観が共通化してきていることを考えると、マネジメントも同様に変わっていかなければならない。日本企業の「グローバル企業化」が急務である今日、日本の企業が今ある狭い視野から抜け出し、ダイバーシティを受け入れ、若手社員、外国人社員に留まらず、女性社員、マイノリティの人々も含め、社会全体がのびのび働ける環境を作ることが重要なのだ。

なお、ファリザ講師には10/17(水)に当社の公開セミナーでも登壇いただく予定だ。ぜひ、こちらもお越しいただきたい。

<終了後に、ファリザ講師と>

 

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