2026年3月17日、第407回を迎えたグローバル人材育成研究会(G研)は、
商社の枠を超え、次世代のための新たな価値創造に挑み続ける豊田通商株式会社より、
モビリティ本部の阿部様、西藤様、河野様をゲストにお招きしました。

写真左から:モビリティ本部 モビリティ企画部 企画総括グループ グループリーダー 阿部 企晴様
当社代表 福田聡子
モビリティ本部 モビリティ企画部 企画総括グループ 主任 河野 夏帆様
コーポレート本部 人事部 HRBP推進グループ(兼)モビリティ本部 モビリティ企画部 企画総括グループ 主任 西藤 和昌様
今回のテーマは「戦略人事サイクルの構築」。人的資本経営の核心は、事業戦略と人事戦略の高いレベルでの連動にあります。
モビリティ本部様とは、2020年より、国内リーダーと海外拠点リーダーの多国籍合同セッションの企画~運営を一貫してご一緒させていただいており、
「人事の役割を戦略的に進化させ、事業成長を力強く支える」という挑戦の歩みと想いを、今回の研究会で改めて紐解かせていただきました。
経営戦略と育成の「ギャップ」をどう埋めるか
セミナーの冒頭では、当社代表の福田より、
グローバル経営の推進と戦略遂行を加速させるための「海外リーダー合同セッション」の本質についてお話ししました。
多くの企業が直面しているのは、「全社目標はあるものの、現場の育成がそれに伴っていない」という現実的なギャップです。
「海外対応できる人材がいない」という悩みに対し、現在実行中の施策が本当に経営目標と紐付いているのか。
この問いに対し、育成ギャップを埋めている成功事例に通ずる3つの共通点をお話ししました。
1.グローバル人材像の定義と浸透:単なる定義に留まらず、それが現場まで浸透しているか。
2.戦略的人材の選抜:一定程度の負荷と期待をかけ続け、次世代を担う覚悟を問うているか。
3.過去の枠を超えた挑戦:従来のやり方や投資額に縛られない、大胆な取り組みができているか。
本社とグローバルの選抜されたリーダーを一つの場に集め、それぞれのポジションに何を期待し、どのようなキャリアアップの機会があるのかを直接伝える。
この「一貫したメッセージ」こそが、戦略を動かす原動力となります。
人事は「事務局」から「事業のエンジン」へ
この「戦略と育成の連動(アラインメント)」を、ビジネスとHRを交互に育てる「持続的なサイクル」によって極めて高いレベルで体現されているのが、
豊田通商 モビリティ本部様の事例です。
同社の取り組みの核心は、次世代リーダー向けプログラム(Mobility Global Management Program)と、
人事リーダー向けプログラム(Global HR Cross Regional Unit)を交互に走らせる、極めて戦略的なサイクルにあります。
海外拠点の次世代を担うビジネスリーダーが、本社の経営層との対話を通じて「いちプレイヤー」から「経営目線」へと視座を高める。
その翌年には、彼らを支える各拠点の人事リーダーが日本に集い、本部の経営戦略を念頭に「人・組織面からどう事業を支援するか」を徹底的に議論する。
この「両輪」が交互に回ることで、初めて戦略が組織の末端まで行き渡り、持続可能な育成のエコシステムが機能し始めるのです。

この画期的なサイクルを走らせる背景には、「全社+モビリティ本部の経営戦略を実現する」という、明確な事業達成へのコミットメントがあります。
単なる「人財育成」のためのプログラムではなく、事業戦略を高いレベルで遂行するために必要な人財を、必要なタイミングで、ビジネスとHRの両面から定義し、育成しているのです。
このプロセスは、単なる知識の習得に留まりません。日本へ招集し対面で実施することの意義は、
書面や数値だけでは見えてこない「その人の熱量や資質」といった手触り感のある情報を、本社が直接得られる点にあります。
こうした「個の解像度」を高める対話は、結果として本社の方針やMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)をそれぞれの「現場のリアル」へと浸透させる、
強固なネットワーク構築にも繋がっています。
これからのリーダー像と、人事が果たすべき役割
現在は本社が中心となってサイクルを回していますが、
豊田通商様が見据える未来は、「各拠点・各地域が自分たちで自走し、戦略を体現していく形」です。
今回の事例から学べる「これからの事業リーダー・人事リーダー像」とは、自国内や既成の役割に閉じこもるのではなく、
組織全体の戦略を深く理解し、互いに越境して支え合える関係性です。
これからの人事は「管理」に留まるのではなく、より一層事業に寄り添い、ときには「HRが事業を引っ張っていく」くらいの主体的な役割を果たす。
そんな姿勢こそが、グローバルに事業でインパクトを発揮するための人材育成・組織開発の要諦であるとお話しいただきました!

質疑応答&対談のパートでも、3名様それぞれの回答が、とても一貫されていたのが印象的でした!
明確な信念とビジョンに基づいて様々な施策を展開されていること、
そしてそれらを常に密なコミュニケーションの中でブレることなくやり切るというチーム力を、この場でも体現されていらっしゃいました。
当日ご参加いただいた皆さまからは、多くのコメントをいただきました。
・事業戦略x戦略人事の重要性を改めて感じた
・より現場に向かい、歩み寄るHRの重要性
・全社のMVVの共有をしっかりおこなっている事が印象に残った
・HRBPのリアルな取組、実際のご担当者のマインド等含め、具体的な取り組みを知ることができ、自社の取組を検討するうえで非常に参考になった
現場の最前線で悩み、挑戦されている皆さまにとって、豊田通商様の「事業に深く踏み込む人事」の姿勢は、大きな刺激とヒントになったようです。
お忙しい中ご登壇いただきました阿部様、西藤様、河野様、ご参加の皆様、ありがとうございました!

