布留川 勝の人材育成の現場日記

管理職全員グローバル化プロジェクト

2010/06/22

グローバル人材育成

管理職研修

PG@mieここ1ヶ月の週末をかけて弊社クライアントの管理職約450名に対して、パーソナル・グローバリゼーション(個のグローバル化)セッションを全国で行った。昨今の企業におけるグローバリゼーションのスピードの速さと人材のグローバル化の停滞のギャップはより深刻度を増している。

様々な企業の経営陣のお話を聞くと悩みは酷似している。

いわく、ここ数年、国内市場の縮小と海外市場(特に新興国市場)の拡大に対応すべく世界中を渡り歩き陣頭指揮を執る中、大きな課題がより鮮明になってきたという。それは、人件費の安いローカルマネージャーのスキルやマインドは加速度的に高くなる一方、日本人管理職の内向きな姿勢と依存度の高さである。定昇や終身雇用は守って欲しいが、新興国への赴任は勘弁して欲しい、人員削減の中、忙しすぎてグローバルスキルや英語力を磨く時間がない、など耳を疑う発言が出てくる。
プロとしての気概に欠ける』というのが、経営陣のホンネだ。

日本ほど、世界の現状とかけ離れて社会人生活を送れる国は珍しい。平和であり、治安もよく、人々は協調性もあり、教養レベルも高く、生活もそこそこしていける。
特に、大手企業の社員は、様々な面で恩恵があり生活が守られている。

だが、それらの基盤を支える前提条件はすでに崩れたのだ。

IMDの国際競争力比較で、今年は中国や韓国の後塵を拝し27位(93年まで5年連続で首位)、公的債務残高のGDP比は227%で世界最悪、国民一人当たりでは639万円という前代未聞の赤字、5月にはIMFから消費税を上げるよう提言される有様である。

マイケル・ポーターは、「Can Japan Compete?(2000年にダイヤモンド社から「日本の競争戦略」として発刊)」という強烈なタイトルの本を出版し、10年前にこう警告している。
「日本企業は、オペレーション効率一辺倒で競争してきた。そうして効率面で追いついた。追いついてみたら、実は、日本の企業には戦略がないことに気が付いた。経営上の意志決定も遅いし、止めるべき事態も即座に止められないなど、経営戦略面では弱点を露呈した。」というものである。

話は冒頭の管理職向けセッションに戻る。
ここ1ヶ月、非常に優秀で真面目な日本の大手製造業の管理職と面と向かい、辛口な話をさせていただいた。しかし、意外にも、ご参加者の大半の方々から、想像以上にポジティブな反応をいただいた。
日本の底力がそこにある。ただ、社会全体が「茹で蛙」状態で危機を感知出来ていない。

彼ら、彼女らが本格的に「個のグローバル化」に取り組みさえすれば、日本は新たな競争力を勝ち取ることが出来ると強く信じている。
そんな思いでこの企業の管理職の全員グローバル化プロジェクトの第一幕が終了した。

(写真は先週の土曜日のセッション)

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