布留川 勝の人材育成の現場日記

「グローバルカンパニーが求める英語力」 自己責任型の日産、目標設定型のトヨタ

2007/05/02

英語力底上げ

d3c75d91.jpg東洋経済誌(4月14日号)に冒頭のタイトル記事が掲載されていたので、興味深く読んだ。

「一定のレベルまで自力で英語力を向上させるのは当たり前。その上で何を語るかこそ問われる」(日産人事部・人材開発グループ)という考え方が日産が自己責任型といわれる原点である。この考え方には大変共感を覚える。仕事柄中国・韓国を初めアジア各国の英語事情にも触れることが多いが、アジア諸国のビジネスパーソンと比較し、日本人ビジネスパーソンの英語に対する危機感や姿勢には不安を覚えることがよくある。いまだに周囲の社員もできないから、自分も大丈夫であるという非論理的かつ楽観的な考えの持ち主が多い。特に、仕事のできる優秀な人材にも、このような考え方を持つ人が多いのは惜しい。

一方、トヨタはTOEICをベースにした英検級という制度と手厚い語学プログラムを持っていて、係長になる要件にTOEIC600以上、とある。これはなかなか厳しいハードルである。ただ、TOEIC600で、英語でのプレゼンや難易度の高い交渉などはかなり困難であることを考えれば、現実的な設定ともいえる。

また、同誌には、沖電気の中国における英語事情についても面白い記事が出ている。
詳細は同誌をお読み頂ければと思うが、沖電気の現地法人、日沖科技(上海)有限公司では、「創立以来社内の会話、文書などは一部を除いてすべて英語。」である。

なぜ中国であえて英語なのか、というと、優秀な人材を確保することが一番の理由である。これまで多くの企業の現地採用は、「日本語ができる優秀な人材」が主流だったが、それはすなわち「日本語はできないが英語はできる優秀な人材」をマーケットから採用できないということでもある。徐々にこの考え方からの脱却が進んでいるが、大手企業でもなかなかここまで腹をくくって徹底している事例は少ない。この実行力はすばらしい。

2番目の理由は、「互いに不自由だからこそ十分に下準備をして論理的に相手を説得しようとすることで立場が対等になり、明確な議論ができるようになることだ。」。この考え方は非常にグローバルな視点であり大いに共感できる。

最近少し勢力が弱くなってきた「中国要員には英語はいらない」論は、生産拠点としての機能に徹底する企業・部署と、研究開発、企画、コンサルティングなどの上流部分の機能を持とうとする企業・部署では事情が異なる。上流部分の比率が高くなればなるほど英語力は必然的に求められてくる。

当社に関して言えば、最近は後者に絡んだ英語力に関する案件が増えてきている。やはり日本企業にとっても、中国との関わり方に変化の兆しが見えてきたようである。

写真は、中国で活躍するカリスマ英語教師の李陽氏

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