布留川 勝の人材育成の現場日記

G研報告(111回)社内英会話レッスンの限界!Why、How、Whatの3ステップで英語力底上げを目指す

2015/04/01

グローバル人材育成研究会(G研)

英語力底上げ

先週、第111回グローバル人材育成研究会(G研)を開催した。

■第1部では、「Why: なぜ社内英会話レッスンが限界なのか?」というお題で日本企業での英語教育の変遷と問題点、そして最近のトレンドを取り上げた。また、多様な社員がいる中での、タイプ別のおすすめ英語学習法、社員の英語習得の目的に立ち返ることの重要性を述べさせていただいた。

多くの企業では長年、社内英会話・合宿型研修、地獄の英語特訓、英会話学校などの対面式学習法など様々な英語力底上げに関しての施策を行ってきた。しかし、残念ながらその投資効果に対しては懐疑的である。なぜこれ程までに英語力底上げに投資してきたにも関わらず、そこまでの効果が出ていないのか?

それは、肝心の本人が英語を学ぶ目的(why)が明確でなく、腹落ちしていないケースが多いからである。

研究会当日も参加者から、「組織的な英語学習の風土醸成に向けての課題」として下記が挙がっていた。

・会社はグローバル戦略を打ち出しているが、実際に業務では使わない人もいるため、やる気を上げることは難しい。
・英語が話せる人が海外業務を行うため、社員全員が自分事としてグローバル化を捉えていない。
・TOEICの点数を上げるためだけに勉強している。また管理職への昇格要件にTOEIC何点以上と入れているが、スコアを獲得できたら、その後一切勉強しない。

では、どうすれば受講者を「その気」にさせることができるのか?それは、英語に対する社員の反応(逃げ腰、わだかまり、冷淡、やる気満々)などを分析し、4つのタイプ別に個人にあった学習法を見つけ出すことだ。今回はハーバードビジネススクールの楽天さんのケースを参考に考えてみた。

1.英語に対して逃げ腰タイプ:
英語は自分には関係ないと思っている社員に対しては、まずは、英語が必要な理由(Why)を腹落ちさせ、やろうという気にさせる。加えてその方法(How)を伝授する。

2.自分の英語学習に自信がないタイプ:
学習継続のための後押し(背中を押す)、またサポートグループを作ってみんなで学習する。

3.いわゆる「勉強が得意」なタイプ:
なぜ英語が必要か?(Why)、特にグローバリゼーションとキャリアの関係を長期的な観点でしっかり理解させる。また、テストの点数では通用しないことを体験させビジネスコミュニケーションのスキルセットを体得させモチベートする。

4.やる気満々で周囲に好影響を与えるタイプ:
保有能力をさらに発揮能力化するため、英語でのグローバルスキルを強化する。また周りを巻き込んで自分の英語学習を積極的に伝えることで、周囲を巻き込みながら更に上を目指す。

人材育成担当としては、多様な部署のタイプ別ニーズに対応するため、動機づけ + 効果的な学習法 + 継続の仕組みを整えることが重要だ。
繰り返しになるが、やる気のない人に英会話レッスンを義務化するというのは投資効率が悪すぎる。
まずは基本に忠実に「なぜ英語を学ぶか?」を明確化することが仕組み作りが私の提案である。

■第2部では、サントリー食品インターナショナル株式会社様人事部庄司弥寿彦様、樋口麻里子様をお招きして、各職場を巻き込んだ英語力底上げの施策をお話いただいた。

サントリー食品インターナショナル様では、KEYプロジェクト(Kyobashi Eigo Yatteminahare)として、各部署を巻き込み楽しみながら文法テストや単語テストを実施したり、社員の英語に関する興味を引くような面白い冊子を作ったり、また寿司職人を呼んで英語を勉強したりと、他企業では見られない非常に興味深い取組みをされている。
私も「やってみなはれ!」精神あふれるプロジェクトメンバーや管理職の皆様へ、「パーソナル・グローバリゼーションセミナー(そろそろ自分のグローバル化始めませんか?)」でサポートさせて頂いている。
プロジェクトの一員としてオブザーブしながら感じるのは、部署内での仲間意識を強化しながら様々な施策を行い、ここまでやりきって、熱気のある成功事例は他にはなかなかない。

成功の秘訣として、企画段階から事務局が企画したものを各職場に「実行してもらう」のではなく、職場リーダーを企画段階から巻き込み、全員で作り上げていくプロセスを踏んでいることが挙げられる。

また、事例発表の中で、「英語をものにすることで、社員自身の可能性を広げたい、イキイキと働く社員を増やしたい」と言われていたことは非常に印象的であった。もちろんこのプロジェクトを通して、会社が定める英語レベルに達することは大切である。
しかし一番の目的は、「自分グローバル化に向けて、英語の自己学習を習慣化出来る人数を増やしていくことである」強調されており、組織の英語力底上げに対する熱い思いを感じた。

■第3部では、当社エグゼクティブ・ディレクターの福田より、「どうすれば英語をものに出来るか?=How 右脳型英語学習法」と「何をすれば習慣化できるか?=What どこでもイングリッシュ」についてお話した。

右脳型英語学習法は、英語学習のモチベーションに焦点を当てたり、楽しく継続できる具体的な学習法をお伝えする「英語マニアのノウハウから学ぶ」セミナーである。TOEIC300点~800点という幅広い層を対象としており、組織の英語力底上げに対して前向きな風土を醸成する際に、多くの企業で活用いただいている。

当日は、実際に英語学習法の3つのツールの1つである「マイストーリー」を体験いただいた。「マイストーリー」とは、「英語の話題(引出し)」を増やすことであり、趣味、仕事、思い出、家族、夢、友達などについて20種類以上自分自身のストーリーを作る学習法である。英語で話すことに自信をつけ、自然に話せる英語力を身に付けることを目指す。

実際に参加してみた方からは、下記のような感想をいただいた。

・参加者を受け入れた上で、楽しみながら英語学習において重要なポイントをお話しされており、学びが多かった。
・楽しくイメージすることは英語力アップに大事だと思った。
・明日から勉強したい!と思えるワーク内容であった。

「どこでもイングリッシュ」とは、受講者の携帯電話に直接フィリピンにいる講師から電話がかかってくる1回10分の英語学習サービスであり、近年では、自己学習の習慣化を実現するために、社内英会話レッスンを廃止し、週に3回~5回この「どこでもイングリッシュ」を導入する企業増えている。

当日は栗田工業株式会社の渡辺創様より、1年半続けていらっしゃる「どこでもイングリッシュ」の魅力についてお話いただいた。

1.非常にフレンドリーで毎回同じ講師によるレッスンであるため、間違っても全て受け入れてくれるため安心して継続出来る。
2.1回たった10分のレッスンのため忙しいビジネスパーソンに適した学習法である。
3.Web機能が充実しているため会社での英文メールや資料の添削をしてもらえる。

「どこでもイングリッシュ」開始時は英語にあまり自信がなかった受講者でも続けていくうちに自信がつき、楽しくなるため、会社での研修期間が終わった後も自腹で継続する方が年々増えている。今後、英語学習を習慣化させるためのツールとして、「どこでもイングリッシュ」のニーズはより増えるだろう。

組織の英語力底上げは多くの企業の課題である。しかし、Why:なぜ英語が必要かを理解し、How: 楽しい英語の学び方を知る、そして、What:スキマ時間を使っての日々の英語学習を継続すれば必ず英語はものにすることが出来る。

以下当日のアンケートからの抜粋である。
・改めて、英語を学ぶWhyの重要性を感じた一日だった。
・「タイプ別のお勧め英語学習法」は、社員の英語学習のモチベーションアップの参考にしたい。
・サントリー食品インターナショナル様の事例は、まさに当社でもやりたいと思っている内容で、非常に参考になった。

研究会終了後にご登壇いただいた皆様と一緒に。
<サントリー食品インターナショナル株式会社 庄司様、樋口様>

 

<栗田工業株式会社の渡辺様>

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