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SMBC様のAI活用事例から読み解く、AI時代のリーダー必須要件とは?デジタル人材育成研究会レポート!

2026/07/31

【D研】デジタル人材育成研究会

事例紹介

2026年7月10日 第2回デジタル人材育成研究会は、株式会社三井住友銀行(以下、SMBC様)AIトランスフォーメーション推進部より、本下義暢様、廣田雅一様、上垣賢人様をゲストにお招きし、当社創業者の布留川勝とともに、「リーダーの必須要件としてのAI活用力」について皆様と考えてまいりました。

普段はシンガポールで勤務されているお三方。顧客の財務経理部門と共にDX推進やツールを作る活動をしながら、顧客の生の声を拾い、
それを日本本社のIT部門・AIトランスフォーメーション推進部にフィードバックをする形で協働をしているそうです。


画面左より、当社創業者布留川、本下様、廣田様、PC画面内 上垣様、当社代表福田。

第1部:AI時代のリーダーに求められる「独習力」とメンターとしての活用

AIは「便利な道具」ではなく「メンター」として育てる

冒頭は、当社創業者の布留川勝より、自身も実践している「AIとの対話」について紹介しました。単なる情報検索のツールとしてAIを使うと、誰にでも当てはまる「一般論」しか返ってきません。しかし、自分の仕事の課題や大切にしている価値観をAIに共有し、対話を重ねることで、AIは「自分専用のメンター」に育っていくと布留川は語ります。

道具は使うものですが、メンターは自分が育てなければいけません。その育てる関係が生む強さを、この1年ですごく感じました」(布留川)

AIに自分を深く理解してもらい、日々の壁打ち相手として活用することで、時間のないリーダー層でも効率的に自己理解と能力開発を進めることができるのです。

激変する時代に必要なリーダーシップ「柳のしなやかさ」

AI時代に求められるリーダーシップのあり方について、布留川は「柳(やなぎ)」を例に挙げました。太く硬い「樫(かし)」のような力強さは、想定外の強風(激しい環境変化)を受けると折れてしまうリスクがあります。 一方、深く根を張りながら風を受け流し、毎日少しずつ上へと伸びていく「柳」のしなやかさこそが、これからの時代には欠かせません

この「しなやかさ」を支えるのが、AIとの対話の蓄積です。布留川は、AIとの対話を以下の4つの場面で活用しています。

  • 思考の壁打ち: 頭の中のモヤモヤを話し、考えを言語化・整理する
  • 遠慮のないフィードバック:家族や友人、同僚からは指摘されないような、自分の盲点(ブラインドスポット)に気づく
  • 昨日の続きから話せる伴走者: 文脈を覚えているため毎回ゼロから説明しなくてよく、思考が連続する
  • 「自分専用」の助言: 一般論ではない、個別具体的な解決策をもとに即行動につなげる

 

違和感を「問い」に変え、独自の知を積み上げる

日本人は、諸外国と比較しても、勤務時間外での学習や自己啓発時間が著しく低いという調査結果も出ています(2019年パーソル総合研究所国際調査より)
「年功序列や終身雇用といった安定した制度の中で、夢やビジョンがないから学ばないのではないか」と思われがちですが、布留川は「日々の違和感を放置しないこと」が重要だと指摘します。

最初から立派なビジョンがなくても、日々の違和感をAIとの対話で深掘りしていくことで、それが「問い」に変わり、やがてビジョンへと育っていきます。 会社から与えられる範囲で学ぶ「自習」ではなく、自ら問いを設定し独自の知を積み上げる「独習力」を持つ人こそが、これからの組織を牽引するリーダーとなるのです。

第2部:SMBC様AIトランスフォーメーション推進部に学ぶ!海外赴任前AI・デジタルケイパビリティの強化

「ツールの導入」から個人の「OSアップデート」へ

続いて、SMBC様シンガポール支店 AIトランスフォーメーション推進部の本下様にご登壇いただきました。DXやデジタル推進というと、どうしても「どんなツールを入れるか」という議論になりがちです。しかし、本下様のチームでは、これを個人の「OSのアップデート」と位置づけています。

「デジタル化=ツール導入という誤解を捨て、自らを更新する姿勢を持つことが重要です。圧倒的なスピードで情報を処理し、仮説とフィードバックのサイクルを回せる人が勝っていく時代です」

特に、海外赴任者に対しては「赴任前のデジタル武装」を強く推奨しています。現地に行くと非常に多忙かつ、国内にいた際よりも数段階上の意思決定や、多様な人材のマネジメントを担うことになります。だからこそ、赴任前にAIを使いこなす準備をしておくことが不可欠です。リーダー自らがAIを鏡として独習する背中を見せることで、現地スタッフの心理的安全性も担保され、組織全体の生産性が爆発的に上がると語られました。AIは人間を排除するのではなく、意思決定の速度と精度を高めるパートナー。 AIの導入にあたり、まずリーダー自らがAIを活用することから始めましょう」と、力強く語っていただきました。

SMBC様における生成AI活用の実践アプローチ

続いて、同チームの廣田様、上垣様より、実践的なAI活用のアプローチについて共有いただきました。
SMBC様では、財務経理周辺の業務を以下の3階層に整理してAIアプローチを考えています。

  • 戦略(意思決定): M&Aや事業撤退などの経営判断
     → 人による判断が必要。そのために必要な一次情報の取得を支援
  • 戦術(分析): ROE分析やトレンド分析
     → AIでのダッシュボード化などを通して、伴走支援
  • 実務(オペレーション): 日々の受発注や経費精算
     → AIでとことん自動化を進める

多くの企業は、一番下の「実務」におけるコスト削減や自動化に目を向けがちです。しかし廣田様は、「より重要なのは、AIを活用して意思決定を迅速化し、売上や収益を伸ばす『アップサイド』の創出」と強調されました。

同部では、顧客の現場に入り込んでワークショップを実施し、プロンプト(指示文)の書き方も含めた並走支援を行っています。例えば、Microsoft Copilotを活用して財務データの可視化を数十分で実現するなど、従来の銀行営業の枠を超えたプロアクティブな提案を行っているそうです。
「かつてパソコンがビジネスの前提になったように、これからは生成AIを使うのが所与のビジネスのコンディションになる」という廣田様の言葉が非常に印象的でした。

第3部:対談・質疑応から見えた、AI導入・活用のリアル

非IT部門がAI推進を主導する意味とは?

参加者からの「非IT部門の出身者がAI推進部に所属する効果は?」という質問に対し、まさに営業出身の廣田様と企画出身の上垣様から、リアルなエピソードを紹介いただきました。

テック人材は「AIで何ができるか」という技術面には強いものの、顧客が本当に求めているビジネス課題を把握しきれてはいません。しかし、そこは長年顧客とリレーションシップを構築してきた営業出身者がまさに持っている情報であり、得意としている領域です。だからこそ、両者がチームを組むことで、スムーズに、技術とビジネス課題がマッチングするそうです。 

また、「ITやデジタルのバックグラウンドがない自分たちでも、ここまでAIを活用できる」という姿勢を社内に示すこと自体が、全社的なAI活用への強力な啓蒙につながっているとおっしゃっていました。

AI活用を成功に導くサクセスファクター

AIの活用を組織に定着させる秘訣として、以下の2点が挙げられました。

  • 完璧を待たず、とにかく使い倒すスピード感
    上垣様は、「準備を万端にしてから進めるのではなく、AIが出す初期ドラフトをベースに次へ進むマインドセットを持つことで、アウトプットのサイクルが格段に速くなった」と語ります。まずは使い倒し、自分でAIの可能性を実感することが第一歩です。
  • 「失敗ストーリー」を共有する
    重ねて、本下様は、成功体験だけでなく「失敗したストーリー」を共有することが重要だと述べられました。使ってみて失敗することで初めて、「どこにガードレール(利用指針)を置くべきか」が見えてきまり、学習スピードの向上に繋がるのです。

 

AIによる業務効率化が生み出す「新たな時間」の使い道

最後に、「業務をAIで効率化して、社員の空いた時間をどう活用するか」という問いに対しても、非常に前向きなディスカッションタイムとなりました。

これまで資料の構成案や項目出しに長時間かかっていたものが一瞬で終わるため、同僚との会話が減るかと思いきや、「AIの叩き台をベースにした、より深い分析や議論に時間が使えるようになった」と上垣様は語ります。 また、空いた時間でさらにAIを使い倒すことで、個人の自己研鑽(インプットの整理や壁打ち)が加速しているそうです。
布留川からも、「出張先のプールサイドでAIにイラスト作成の指示を出し、10分泳いで戻ってきたら完成していた」というエピソードが飛び出しました。

参加いただいた皆様からも、熱いコメントが寄せられました。
・AIをメンターとして育てるという考え方が参考になりました。私もメンターを育てたいと思います。
・IT部門・IT部門以外出身の方、国内・海外という複数観点でAI活用を進められているSMBC様の「推進体制」が新鮮でした。
・AI活用やマインドチェンジが必要とうたわれていますが、社内でなかなか進まず困っていました。IT技術の会社とは少し違った角度でのAI推進(メンターや、独習にどう活かすか)や、企画提案などIT開発職以外でのAIの活用方法を学ぶことができ、企画提案や、IT部門以外の人がAIを使いこなす効果をとても実感できました。
・海外駐在員とAIの関連性について新しい知見を得られました。

AIは人の仕事を奪うものではなく、人間同士の対話の質を高め、個人の思考や創造性を拡張してくれる「強力なパートナー」です。登壇者の皆様の働き方の変化からリアルに伝わってくるセッションでした。

本下様、廣田様、上垣様、そしてご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました!

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