布留川 勝の人材育成の現場日記

人材育成の『場』としての中国

2006/10/03

ビジネススクール

81974937.jpgデスクトップを整理していたら、今年の3月に中国出張した際の写真が出てきた。 写真で私の隣のベレー帽の紳士はニューヨーク大学のDr. Jexである。 Jex氏とはニューヨーク大学で『Global Certificate』(http://www.globaledu-j.com/g/g52.html)というMini-MBA的なプログラムで『若手のグローバル人材を育成しよう』という志で協働させていただいている。 もうかれこれ10年近いお付き合いで、今回も『中国の大学とのジョイントプログラムの可能性もあるし一緒に行かないか?』という有難いお誘いを受けて、即座に『YES!』とお答えし、上海、西安、北京をJex氏のビジネスパートナーで教育コンサルタントのY氏と3名で10日間視察した。
そこで感じたことを2点述べさせていただく。

中国人材>グローバル人材

今回の私の印象では、中国の大学やビジネススクールは、プログラムの充実度としてはまだ発展途上である。 ただ、日本からの企業派遣の研修プログラムとしての展開を考えた場合、中国という場でのトレーニング機会を持つということは、中国要員の育成には効果があるだろう。問題点は体系的にマネジメントを学ぶにはまだ充実度は低いことである。中国人材の育成にはいいが、グローバル人材育成という意味ではベストの選択肢とは言えない。

台湾出身米国人のチャイナドリーム

同行したコンサルタントのY氏が私に話してくれた彼の夢が興味深いので紹介する。彼は15年前にニューヨーク大学で修士号を取り、その後米国のグリーンカードを取得し米国国籍になった。いわゆるアメリカンドリームを求めて米国に家族とともに移住したわけである。その彼が、数年以内に中国に移住することを本気で考え、反対する家族を説得中だという。理由はいたってシンプルである。中国の方がよりチャンスが転がっているから、という訳だ。彼は年に4-5回中国を訪れ、数ヶ月で信じられないくらい変わっていく中国のスピードとパワーに魅了されたのだ。彼はこの変化のスピードの中に自分の自己実現の可能性を見出したと言う。米国に憧れ、米国籍を持つ46歳の彼は、彼自身のプロフェッショナルとしての最後の主戦場を米国ではなく中国におこうとしているのだ。台湾出身米国人のチャイナドリームである。私自身も、この出張で「リスク」と「機会」が混在し、日本どころではない「格差社会」を体験した。そして、一種の嫌悪感とともに、どこか退屈で平凡な日本社会にはない「未開発のビジネスチャンス」の魅力も同時に感じてしまった。

強烈な刺激を得られるという意味では『ハングリー精神』を失い、『自立』を模索する日本人ビジネスパーソンには、現在の中国は自らを鍛える格好の『場』になりえる。アジア全体を踏まえたグローバルリーダー育成プログラムをコーディネートしたいと考えるなか、中国の教育研修機関は未開発だが大いに可能性を秘めている。

写真は万里の長城(北京)にて撮影

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