布留川 勝の人材育成の現場日記

G研報告(123回)第1部「アンチグローバル人材の攻略」

2016/04/04

グローバル人材育成

グローバル人材育成研究会(G研)

先日、第123回G研『「リーダーにフォロワーがつく理由」を「情」と「理」の2面から捉えるとは?
グローバル人材になりたくない社員のマインドセットを変える方法』を開催した。

第1部では私より、「グローバル人材になりたくない社員のマインドセットを変える方法~アンチグローバル人材の攻略が成功のカギ!~」をご紹介した。

まずは,「そもそも論」から言うと、グローバル人材はなぜ育たないのか?

このブログでもなんども述べているが、要は数十年間やり方を間違えたままグローバル人材育成の施策を行ってきたというのが理由、というのが現場感だ。

グローバル人材イコールとりあえず英語力アップ(ここから思考停止)、そしてその基準が
TOEIC600というところに落ち着く(ここでまた思考停止)。
なぜ600点なのかというと、TOEIC400点の社員に対し、いきなり800点取得を求めるのは厳しすぎるので、まず600点取得を求めるという施策自体はある意味仕方がない。
しかし、600点を取った時点で、次は700点、800点と次のステージを設けるメッセージを盛り込む必要がある
この施策の本当の目的は決してTOEICの点数を取得することではない。TOEICは信頼性が高く多くの企業で使っているデファクトとして使っているだけだ。
しかし、本来の目的はグローバルで協働でき、戦える人材の育成であることは言うまでもない。

そんな基準の曖昧さの中に、企業には「グローバルは誰かがやってね」というアンチグローバル派が堂々と存在する(ただ表面化していないケースが多い)。

飲み屋での私の隣のサラリーマンの会話。

「社長も現場知らないよな。なんで使いもしない英語を俺らがやんの?国内の大変さがわかってない。こちとらグローバルどころじゃない。グローバル部隊にやらせりゃいいんだよ(こういう人に限って自分は絶対その部署への異動はないという根拠のない確信がある)。まあ、管理職はTOEIC600らしいから一応目指すよ。あと100点だ。大学受験思い出すなー。俺だって一流大の受験で鍛えられてんだ。ちょっと燃えてきたー。ただこれで600とったら二度と英語とさよならだ~~」

こんな話が社長に伝わって逆鱗に触れ、「木を見て森を見ない管理職」は若手にも悪影響もある、すぐになんとかしないとまずいということで、私に講演依頼(パーソナル・グローバリゼーション/もう忙しいを言い訳にしないで自分をグローバル化しましょう)が増えている。

2時間くらいで、
1)なぜ自分をグローバル化すべきか、
2)人材の能力定義(英語だけじゃない)
3)多忙な中、隙間時間で自分を鍛えるノウハウ

の話をするとこんなアンチグローバル管理職のみなさんも「なーるほど。確かに自分のピントがずれてた。このままだと自分もやばい。英語はやらなくていいという選択肢はとっくになくて、それどころか英語力を前提として自分のリーダーシップ力やマネジメントスキルを中国やアメリカやASEANで発揮できなければ生き残れない。あー、この話もっと早く聞いとけばよかった~」という反応で拍子抜けする。さすがにエリートの方々が理解が早い。ちゃんと説明すればいいのである。
ちゃんとした説明なしにTOEIC600とれなどと通達するから反発しアンチグローバル派が増えるのである。
だれだって大きな流れに一人で逆行するリスクの大きさはわかる。
大手企業の日本人は真面目で優秀なのだ。

ただそんな人材が一歩外に出たときに実際にタフな交渉やマネジメントをすることに慣れていないのでは、日本企業の持つ価値を最大化できない。これは大変勿体ないことである。
そしてそのことが、自分の給料が下がる、または失職につながるかもしれないなど、自分の将来に暗い影を落としかねないことが腹落ちすれば、辛くても努力する。

「アンチグローバル派の管理職の攻略」は、まず会社から「TOEIC600で無罪放免」のような間違ったメッセージを出さないこと。
そして「グローバルはグローバル部隊がやればいい」というお気楽で森を見ない管理職に現実をきっちり理解してもらい、自らが若手のお手本のグローバル人材になって行かざるをえない仕組みづくりなのである。

人選から幹部の選び方、研修の位置づけまで詳細にお話しいただき、皆様からは「成功の秘訣が事実に基づいているので、イメージが沸いた」と多くのご関心の声が寄せられた。

(第2部へ続く)

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