布留川 勝の人材育成の現場日記

「これからのグローバル時代を生きる力をつける」

2016/01/12

グローバル人材育成

昨年末の話になるが、12/22(火)に放映されたNHKニュースウォッチ9で取材を受けた。
「大学入試改革 “ 記述式”導入でどう変わる?」というニュースだ。現行の大学入試のセンター試験が平成32年度から廃止され、新たに大学入学希望者学力評価テストが実施されるという。これまでのマークシート式から、記述式も加わるという。

また、グローバル人材育成のねらいもあり、英語の場合、口頭で問題が出され、それに対する考えを記述式で回答するというものになるとのことだ。

採点に時間もコストもかかるため賛否両論あるようだが、私は基本的に賛成である。なぜならばリーダーシップ開発やイノベーションを生み出す力にもつながり、日本企業の競争力にもつながる話だからである。

センター試験のやり方が、リーダーシップ開発やイノベーションと関係している、と言うとそんな大げさな、と思われる方もいらっしゃるかもしれない。

 

そこで少し企業研修で見られる傾向について話したい。日本企業でのグローバル人材育成に携わる中、感じることの一つとして、日本人の意見を述べる力の弱さがある。これが顕著に出るのが、最近各社で増えてきている「多国籍セッション」である。買収先の社員や、海外拠点のメンバーと合同でリーダーシップや企業理念、戦略などについて学び、考えるような研修が多い。

こうした場では、議論をリードするのは、日本人以外の場合がほとんどだ。日本人ももちろん頑張るのだが、コミュニケーションにインパクトに欠け、取り上げられなかったり、ちょっとした反論や意見に対しても返すことが出来ず、意見をひっこめてしまう、という場合もある。

リーダーシップは他者に影響力を与えることであり、自分の意見がしっかり述べられることは欠かせない。多様な人材が集まるグローバルビジネスにおいては、論理的で分かり易くなければ伝わらない。

また、イノベーションを生み出す上でも自分の意見を述べるということが基礎として欠かせない。多様性とイノベーションは大きく関連していると考えられている。多様な視点、能力を持つ人材がそれぞれの意見をぶつけ合い、新たな視点、アイディアを生み出す対話のプロセスがあることで、イノベーションにつながる創造性を刺激しやすくなる。

多様性の高い環境でビジネスを行う場合、「対話」が成功に欠かせない。それぞれが意見を論理的に述べて、そこから新たな視点や考えを生み出す「対話」が不可欠だ。

しかし、多くの日本人はここで土俵に上がれないことが多い。自分の意見に確信が持てなく、意見を述べることを控えたり、または、様々な話題に対して興味を持っておらず、意見がないこともある。これは英語ができるだけでは実践できない。論理的な分かりやすく、かつ相手を動かす影響力あるコミュニケーションが実現できるスキルもなければならない。そしてそもそも、ビジョンが明確でなければならない。

日本企業においては終身雇用・年功序列型の組織だったこともあり、自由闊達に意見を述べ合う環境ではなかったかもしれない。しかし、変化のスピードが速く、曖昧かつ複雑で不透明なこの世界において知識を測るだけのマークシート方式では時代にそぐわなくなっており、それに代わる一つの方法として記述方式があると考えている。

もちろん、センター試験の改革だけでもちろんグローバル人材育成が出来る訳ではないが、こうした能力の必要性への認識を高めるきっかけになるのではないだろうか。

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